地域ブランド数の変化とブランドの価値
−ブランド鯖による実証分析−
概要
 消費者が購入する食品を選択する際に、その食品の産地は、重要な要素である。そのため、食品の産地に対するイメージによって他の産地との差別化を行うことができれば、産地の商品価値を上昇させることができると考えられる。日本では、他の産地との差別化をはかる政策のひとつとして、食品の地域ブランド化が行われている。本稿ではD/C選択モデルを用いて、地域ブランド化が産地の価値を引き上げる政策として有効であるかについて日本のブランド鯖の例を用いて実証分析を行った。本稿で得られた結果は次の通りである。産地の価値を上げる政策として、競合するブランドが存在しない場合、地域ブランド化は有効な政策であるが、既存ブランドが存在するなかでは地域ブランド化は産地の価値を引き上げる政策として有効でない。一方で、ある市場における地域ブランドの増加は地域ブランドの数が少ない時期には既存ブランドの価値を上昇させるが、地域ブランドの数が増えるにしたがって既存のブランドの価値に対して負の影響を与える効果があることがわかった。

キーワード(key words) :ブランド鯖(branded mackerel)、地域ブランド (Local Brand)、D/C選択モデル(Discrete/Continuous Models)、追随ブランド(Following Brand)、先発優位性(First-Mover Advantage)